どうも、お坊さん大道芸人のとっしゃん(@tossyan753)です。
なかなか珍しいお寺の資産運用について書かれた本を読みました。
『お寺×投資×SDGs』です。
これからの人口減少時代に寺院を維持していくというのは、かなり厳しい!
檀家さんも減っているし、潰れているお寺もたくさんあります。
そんな激動の時代、どうやってお寺を維持していくのか?
それには資産運用しかない!という趣旨の本です。
実は僕、資産運用ってめちゃくちゃ興味があって、実際にやっているんですよね。
子供の教育資金と、老後も心配ですし…。(僕は国民年金1階建てマンなので)
お坊さんがこういったお金お金した話をするって抵抗ある人も多いだろうな〜と思って、普段はあまり話さないのですが、実はかなりお金には興味津々。
なので、この本も楽しく読ませていただきました。
お坊さんが資産運用って変な事ではないのかも?と気付かせていただいた本です。
それではレビュー、行ってみましょう!
お寺は歴史的に資産運用をしてきた
この本の前半部分は、お寺は歴史的にどのように維持運営されてきていたのかを記されています。
まず、現代のお寺の収入源は、ほとんどがお葬式、法事などでいただくお布施です。
このいただいたお布施を宗教法人に入れ、僧侶はそこから給料をいただいて生活をしているんですね。
僕が生まれた頃にはすでにこういうシステムだったのですが、過去に遡ってみると、お寺はどうもお布施の収入に頼っていたわけではないようです。
どちらかというと資産運用でお金を増やしてきたみたいなんですね。
労働せずにお寺を維持するためには経済基盤が必要
仏教では、働いて財産を蓄えることは執着を生み、苦しみの原因になるとしています。
なので、理想のお坊さん像として「清貧で、執着が少なく、修行に専念している人」というイメージを思い描く人もいるかもしれませんね。
しかし、よく考えてみると修行に専念するためにも、ご飯は食べないといけないし、修行の場の確保、維持管理も必要で、それには多少なりとも金銭が必要です。
その金銭はどうやって確保するのでしょうか?
資産家にお金を出してもらう!
働いて財産を貯めるのは教えに反する、しかしお金がないと修行もできない。
となると、答えは「資産家から寄付をしてもらう」です。
現にお釈迦様が生きていた時代にも、お釈迦様の教えに感銘を受けた大資産家は、広大な農園、快適な僧院、宿坊などの設備を教団に寄付しています。
これらの農園や快適な建物は「資産」として、安定した食料や、快適な修行の場という不労所得を教団に与えてくれていたので、修行に専念できたわけです。
ちなみに、その後の中国や日本に仏教が伝わってからも、田畑からの年貢を集める役を担ったり、集めたお金を貸し出して、その利息でお寺を修繕したりしていたそうです。
この辺りは、本書で詳しく書かれていますので、ぜひ読んでみてください。
檀家制度の崩壊
そんな資産収入でやっていたお寺。
資産家と労働者という枠組みで考えると、お寺は資産家側にいたわけですが、戦後のGHQの推進した農地開放により、お寺の所有していた広大な土地が農家の手に渡り、財産は大きく目減りしました。
土地からの収益が入らなくなったんですね。
それでも、日本は高度成長期もあり、檀家さんからのお布施収入でどうにかなっていました。
現在も、団塊の世代が多く亡くなっているので、お葬式は減っていません。
しかし、その後の人口減少時代が到来すると、お葬式も減り、お寺の収入がガクッと減る時代がやってきます。
僕の肌感覚としても、かなり薄氷の上に成り立っているのではないかという気がしています。
お寺の収入の柱を増やす
そこで、これからの時代に何が必要なのかと言うと、お布施以外の収入です。
ビジネスを展開していくのも良いんですが、それは一過性のものになる可能性も高いです。
また、ビジネスをやっていくとなると、人口が多い都会が有利なんですよね。
めちゃくちゃ過疎地のお寺はかなりの工夫をしないとやっていけません。
そこで、お寺を永続的に維持していくためには、資産運用からの運用益が向いていると本書では書かれていました。
簡単に言うと、お寺はFIREを目指そうって事ですね。
早期リタイアはどっちでも良いですが、経済的自立はとても大事!
この点は、僕も非常に頷ける内容でした。
お寺の資産運用は王道で!
本書の資産運用に関しては、王道のやり方を紹介されていました。
「手数料の安いネット証券で米国or全世界株式インデックスファンドを長期で定額で積み立てていけ!」ってやつですね。
長期、分散、定額のドルコスト平均法で長い視点でお金を増やしていくスタイルですね。
僕もつみたてNISA、iDeCoもやっていますが、つみたてNISAは米国のS&P500に連動するインデックスファンドを、iDeCoは全世界株式を積み立てています。
こういう長期運用もお寺のスタイルに合っていますね。
じわっと毎年資産が増えていっています。
投資本は何冊か読んで、何に投資をしているかをしっかり把握しておこう
ちなみに本書を読んで投資をしてみようと思った場合、入門用の書籍だけでも何冊か読む事をオススメします。
結局どの本も書いてあることはほとんど一緒ですが、腹落ちして、どういったものに投資をしているのかが分かってから資産運用をした方が良いですからね。
この辺りの本を読んでおくと良いと思います。
良く分かってないと、好況なときは良いですが、暴落のときに耐えられなくなりますからね。
「S&P500は分散もしっかり効いているし、銘柄の入れ替えもある。20年以上のスパンで切り取った場合はマイナスは無いし、世界はこれからも成長していくので、暴落はむしろチャンス!」
ぐらいの心持ちになれば、良いのかなと。
お寺は株式資産が2億あれば永久的に維持出来る
ちなみに、一般的なお寺の資産のゴールは2億円ぐらいです。
お寺は人件費なども込みの年間支出が800万円ぐらいで運営しているお寺が多いらしいので、2億円を4%だけ取り崩しながら運用する事ができれば、投資収入だけでお寺を運営する事が可能になります。
ちなみにこの4%も意味のある数字で、株式、債権50%ずつの資産を年間4%ずつ取り崩していけば、30年後も資産が減らない可能性が90%程度あるという研究結果から導き出されたものです。(ちなみに取り崩し率を下げればもっと成功確率は上がる)
家庭の場合も同様に、5000万円ぐらいあれば年間200万円を資産運用だけで賄う事が出来ます。
これだけあればほとんど働かなくても暮らしていけるので、お坊さんとしての活動も幅広くなりそうですね。
まとめ:真に長期に維持できる体制をつくる
「お寺の今後ってどうなるんだろ?」と思って色々と考えて行動してきましたが、資産運用でやっていくのは個人的にはすごく良い方法だと思います。
お寺を維持していくためには、どうしてもお金が必要です。
個人的にはビジネス的な視点も必要だし、お寺でイベントをするのは好きなのでそっちもがんばりたいのですが、それと同時進行で投資による資産収入も進めていくのが良いのかなと感じました。
檀家さんからも「お寺さんは資産運用しよるんな?貯金だけにしとらんやろな?」ぐらいの方が出てきてくれたら面白いですね。
個人的には、お寺の金銭の歴史が非常に勉強になりました。
また、現代のお寺の矛盾や問題点(妻帯や跡継ぎ問題)などにも切り込んでいますので、その辺りも気になる方はぜひ読んでみてください。
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FIREとは「Financial Independence, Retire Early」の頭文字を取ったもので、「経済的自立」と「早期リタイア」を意味する言葉です。